Part27


いよいよ法制化されそうな外国為替証拠金取引(FX)の「顧客資産の信託保全一元化」 … 今日の日経ヴェリタス “放電塔” で、ここに至るまでの経緯やこの先の問題点などが分かりやすくまとめられてました。
会社の資産と顧客の資金を混同していた業者の摘発や、また昨年9月のリーマン・ブラザーズの経営破綻もあって、4月にも内閣府令を改正して信託保全が一元化されそうですが ・・・
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昨年12月、業者を集めた講演会で普段は温厚な金融庁幹部が「これからは監督を強化する」と声を荒らげ、出席者が震え上がった――。
これまで顧客資金の管理は、(1)信託銀行への信託保全 (2)金融機関への預貯金 (3)カバー取引を行う取引金融機関への預託 ―― という3つ分別管理が認められてきた。 FX業者のうち、「顧客資産を全額信託保全しているのは数十社」。
全業者が信託銀行などと契約する必要があるとなれば、証券業並みの資産保全策に一歩近ずくものの、保証状(L/G=letter of guarantee)による取引規制ともなれば、業者が顧客資産と同等の自己資本を用意するか、取引金融機関にL/Gとは無関係の与信枠を設定する必要が生じることで、顧客資産が大きい大手ほど資金繰りが厳しくなる(*) ―― バックに大きな企業がついている業者しか生き残れず、FX業者は半減?
また金融庁は、「ロスカット・ルール」の整備や「低スプレッド取引」にも監督を強化 ―― ルールの明確化は投資家保護に資するが、規制を強めすぎて破綻業者が急増するのは本末転倒だ。 業者のコスト増が投資家に転嫁されたり、寡占化で市場が停滞しても投資家には不利益となる。
業界にとっては、「税制も改めてもらいたい」 との声も ―― 取引所取引の売却益は申告分離課税の対象で、税率は一律20%。 総合課税が適用される店頭取引の最大50%と比べて一般に低い。 しかも、取引所取引は今回の規制の対象外となるようで、ダブルスタンダードを残せば、業者の不満が強まりそうだ。 (日経ヴェリタス/一部抜粋)
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悪徳業者をFX業界から排除する規制は大賛成ですが、L/Gを認めないような100%信託保全や、本来は業界の自主ルールで整備すべき 「ロスカット・ルール」 などにまでのチョッカイは反対です。 仮に、L/Gが認められないとなれば、業者とカバー取引先とのレバレッジを今より高める動きも浮上してきそうで、ヘッジ取引自体にリスクが高まってしまうおそれも。
そもそも、外為取引業務の自由化から逆行するようにも思えるFX業界の規制強化は、何よりも個人投資家にデメリットも多いはず。 万が一、規制の行き着くところが、”FX店頭業者の取引所取引へ集約” ということにもなれば、現在ある多様なサービス(キャンペーン・プレゼント等)の低下や選択の自由(スプレッド・手数料・通貨ペア・取引レート等)も狭められます。 銀行のサービスや証券会社の手数料にビックリするような “差” が無いように、FX業界も画一化され、顧客ニーズが反映されなくなるおそれも。 また、税制のダブルスタンダードはもともと投資家に不利な基準であり、さらに業者の半減は “雇用の縮小” にもつながりかねません。
そこで、金融当局サイドを煩わせないためにも、自主的に “Code of Conduct”(行動規範) を定めたり、業界の慣行(FX用語の統一化等)を検討する “いわゆる慣行委員会” のような自主団体の設立で、”店頭業界の健全化” することが急務だと思えてなりません。
(*) 「信託銀行に顧客資産を信託することでL/Gを発行してもらい、これを担保にカバー取引先から信用枠の設定を受ける。 当局にすれば “顧客資産を担保にカバー先から金を借りているようなもの” というわけ」
// by Rumina
2009年2月8日


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