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【為替】とは、大辞林によると 「手形や小切手によって貸借を決済する方法。離れた地域にいる債権者と債務者の間で貸借を決済する場合、遠隔地に現金を輸送する危険や不便を避けるために使われる」 とあり、その昔、両替商が決済に係る立替を行うことで代金受け取り(取立為替)と送金(送金為替)の相殺(ネッティング)によって、その差額だけをやり取りする「国内為替」に始まり、今では海外との間で債権と債務を銀行間の口座振替でネッティングする「外国為替」が、世界の経済活動を支える潤滑油の役割を担っています。
外国為替の基本は、【取引レート】です。これは、各通貨間の交換(両替)比率のこと。1ドル=110円00銭とは、1ドルを110円で両替することです。外国為替市場では、「ドル円」取引の場合のように、外国通貨を1として自国通貨の交換比率の表示する「自国通貨建て」と、ユーロや英国ポンドのように自国通貨を1とした外国通貨の交換比率を表示する「外国通貨建て」で取引されています。
ところで、海外旅行先の【ホテル】のフロントなどで両替をした際、1ドル=110円という表示ではなく、0.0091という両替のボードを見て戸惑いを感じた経験はありませんか?この取引レートは、ホテルは10,000円に対して0.0091(1÷110)を掛け合わせ、91ドルに両替するJPY/USDで表示される取引レートです。
さて、算数の問題ですが、ユーロ円とユーロドルからドル円を割り出すこともできます。これを裁定相場ともいいます。ユーロ円が1ユーロ=135.52円でユーロドルが1ユーロ=1.2367のとき、ドル円は1ドル=109.58円と気配値の計算ができます。また、ユーロ円が137円でユーロドルが1.2500では、同じくドル円の気配値は109.60円であるように、ユーロが他の通貨に対して全面高であるにもかかわらず、他の通貨間では変動がないこともあります。これは、為替相場はその時々の世界経済による通貨の【需要バランス】によって、注目される通貨が他の通貨に対して為替動向を示していることに他なりません。
金融機関(銀行)は、顧客である商社・生命保険会社などの機関投資家や自動車・石油など輸出入関連企業との外国為替取引により、為替ポジション(外貨の買い持ち/売り持ち)が発生します。そのため、資金為替部では外貨ポジションの調整をするために、他の金融機関との間でカバー取引を行います。さて、金融機関のカスタマーディーラーは、インターバンク市場で取引される取引レートに金融機関が保有する外貨ポジションと手数料を考慮したうえで、【対顧客レート】を提示します。この取引とほぼ同時に、為替ディーラーは各銀行の為替ディーラーを通信回線を使っていっせいに呼び出す(直接取引)と共に、専用回線で結ばれる為替ブローカーを介してカバー取引(ヘッジ取引)を行います。
同じように、外国為替証拠金取引会社は、顧客の取引注文を受けると同時に、ヘッジ先金融機関で為替リスクをなくすための【カバー取引】を行っています。このことからも分かるように、店頭取引として最も代表的な外国為替取引では、通常ヘッジ取引によって利益相反は起こりえないといえます。
今般、問題視されている一部外国為替証拠金取引会社による委託証拠金の不正流用や出金の滞り、取引会社の倒産や閉鎖は、当該取引会社がヘッジ取引もしくは顧客からの預託金を分別管理してこなかった結果であり、外国為替証拠金取引という金融商品の欠陥ではないのです。外国為替も外国為替証拠金取引も、通常の「為替取引」において、経済社会において合理的意味合いを兼ね備えた新たな【分散投資先】金融商品と成りうるのです。


外国為替証拠金取引で、取引会社との【トラブル】を避けるために:
① 取引口座開設の申し込みで、取引会社の審査基準は厳格化されているかを見極める
② 取引に必要な証拠金の預託にとどめる
③ 一定の期間内で出金を試みる
④ 入出金に係る本人確認が行われているか試みる
⑤ 取引によって為替差益が出たときには、その利益分は出金しておく
⑥ 不明な点・不安な点は、取引会社の管理部やお客様相談窓口に直接問い合わせる
⑦ 顧客のわがままがまかり通るような取引会社との取引は避ける
⑧ もちろん、顧客自らも取引に準じる事務手続きルールや取引ルールを順守することが大切


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