Part15


インターバンク市場での取引は、指値注文から始ります ・・・ A銀行が「117円20銭で500万ドル買いたい」と市場に指値注文を出します。すると、B銀行が「30銭で800万ドル売ってもいいよ」と売り注文を出します。この時点で「117円20-30銭」というBidとOfferで市場にドル円の “プライス” が形成されます。 C銀行が「25銭で300万ドル売ろう」と指値注文を出すと、D銀行はbehindに19銭で700万ドルの買い注文を出します。すると、A銀行は「買いも強そうだし、23銭で300万ドルだけでも買っておこうかな?」と買い注文を出し、この時点では「117円23-25銭」とnarrowな “プライス” にimprove。
さてここで、117円23銭でY銀行のニューヨーク本店(Z)からのストップロス500万ドルの売り注文があった場合、約定するか?というと、この局面ではまだ約定しません。市場の取引慣行として、ストップロス注文等はその指定レートがまず出会ってから、次の “BESTレート” でこの注文が執行されるからです。ひとつには不正取引防止の知恵であります。 さて、現状の市場レートはというと:
                30銭 800万ドル  OFFER
                25銭 300万ドル
BID    300万ドル 23銭
      200万ドル 20銭
      700万ドル 19銭
ここで、シビレを切らしたC銀行は、「23銭で300万ドル売りたい」と注文を出し、見事初Deal ! この瞬間、市場のBESTプライスは「117円20-30銭」となりますが、そこですかさず、23銭のストップロス注文が執行され、次のBESTレートである20銭で200万ドルの取引が約定、さらに次の市場のBESTプライスは「117円19-20銭」となります。 もちろん、20銭の売り注文は(Z)のストップロス注文の残りのバランスである300万ドル ! ・・・ この繰り返しで、外貨は24時間、外国為替市場で取引されています。 ちなみに、外国為替証拠金取引では、23銭のストップロス注文が、実際には20銭で約定することを「スリッページ」と呼んでいます。
さて、中央銀行の市場介入ではこんな悠長なことは言っていられません。狙いを定めた特定の銀行や外為ブローカーをホットラインで呼び出し 「今、ドル円はいくらですか ?」 “19-20です”  「では、50銭まで全部買ってください」(ドル高誘導時)の瞬間、behindにあった売り注文までもがすべてなくなり、いきなり「50銭買い、売りなし」の状態になります。この瞬間、誰もが市場介入とは分からずに、突然の50銭買いに対して「50銭 ? 50銭で売るよ ! 売る」の売り注文が出て約定は膨らむものの「50銭、まだ買い」の市場プライスに、市場はパニックに陥り、今度は全員参加型の買い一色となります。
この状況は、主要経済指標の発表後やこれからのGreeting Seasonでも同様なことがいえ、外国為替証拠金取引に参加している一般トレーダーには手の出しようがありません。 wideなプライスや跳ぶレート、はたまた方向感をつかみ得がたい薄商いの外国為替相場には、くれぐれもご注意を ! Merry Christmas & A Happy New Year !
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by R
2006年12月13日


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