個人マネーと外国為替?


2005年外国為替動向の市場テーマは、まさに「金利差」でしたね。
株式も外貨運用も、年初からの長期保有で資産運用した個人投資家は、好成績であったことと思います。クリスマスイブの今日、来年度の政府予算案も決まり、 国民の税負担増が気になるところですが、個人投資家にとっては金融市場のトレンド2006も気になりますよね。でも、まずは今年を振り返って来年へとつな げましょう!


個人マネー動向で、外貨預金が注目された2005年でしたが、来年以降はどうなるか? ちょっと心配です。新聞広告や銀行の店頭には「年率3~7%」などと外貨預金は高利回りの利息が魅力と謳っています。しかし、為替リスク(為替変動の影 響)や手数料として仲値から1ドルにつき25銭~1円上乗せされたレートでドルに替えたこと、さらには預金保険制度の対象外の金融商品であることを、個人 がどれだけ理解したうえで外貨預金をしているか疑問です。でも、仮に十分な商品知識がなく2005年1月に(1ドル=103円)ドル預金された方は、利息 と為替差益(1ドル=116円‐103円=13円)のダブルゲットで、年末年始ウキウキではないでしょうか。

ところが、12月上旬に121円で1万ドルのドル預金をした人は、クリスマス前では円価で116万円に目減りしていると気づいているかどうか? このまま2006年の為替相場がドル安に向かった場合には、ドル預金の満期・解約時の手にする円貨キャッシュでは元本割れが生じることになります。さらに 利息は121万円に付くのではなく、1万ドルに対しての設定利率であることを知らず、利息を上回る為替差損と期待したほどの利息も付いてなかった、何って ことも考えられます。

外国為替証拠金取引を行う投資家は、まさにこの為替変動のサヤをリアルタイムで獲得しようと、上昇が望める通貨を買ったり、下落する通貨を売るポジション メイクで、為替差益を得ようと取引します。ただし、あくまで「証拠金取引」であることを忘れてはいけませんよね。取引額が2倍3倍と増えると、預託した証 拠金でカバーできる為替差損動向幅は1/2、1/3と減少してしまいます。121円で1万ドルのドル買いをした場合(10万円を証拠金として預託 / 1万ドルあたり維持証拠金5,000円を使用)、ドルが111円50銭に下落するまでポジションの保有を継続できますが、2万ドルのドル買いをしていた場 合には、116円50銭でマージンカットによりポジションは清算され、9万円以上の損失が確定してしまいます(スワップ金利は考慮していません)。取引額 に応じた証拠金の預託、もしくは預託証拠金で許容できる取引額をコントロールする取引が望まれます。

外貨預金も外国為替証拠金取引も、個人向け「積極型リスク商品」であるといえます。2006年、為替相場がたとえドル安トレンドになろうとも、外国為替証 拠金取引は「ドルを売る」ポジションメイクで対応する資産運用ができます。でも、24時間いつでも為替差益を得る取引チャンスと突如為替差損が発生する懸 念を背中合せにしていることから、注文・取引する「自由時間」を持ち合せた投資家向き金融商品ともいえますネ。


2006市場要因と展望


外国為替証拠金取引は、運用できる資金以上の追加投資を回避する「マージンカット」という取引システム採用で、無理のない外貨取引ができるように投資家保護が図られています。マージンカットを避けるためには、為替動向に影響を与える各種要因への注視が大切になりますよネ。


2006年、米国の金利先高感の後退で、米国の経常赤字が注目され始めると、再び中国人民元の切り上げ圧力が高まることで、アジア通貨が連れ高になること 予想されます。また、オイルマネーなどの余剰資金は、投資先となっていた米国から新興国へ移動すると「アジア通貨高とアジア株高」となる地合いが視野に入 ります。すでにドル円は、昨年の一貫したドル高トレンドが、今では昨年末の最高値から6円ドル安の115円を中心とする取引レンジで推移しています。

今年の前半は、2月に就任する新FRB総裁の手腕に、トリノ冬季オリンピックとワールドカップ開催でもたらされる経済の波及効果が注目され、年後半は9月 に予定される自民党総裁選で金融政策はどうなるか? 目が離せません。 また、日銀がどのタイミングで量的金融緩和政策を解除するのかも、気になるところです。 さらに、最近の中東石油産油国による核開発の再開が、「地政学リスク」として原油・金・株式・債券・株式・為替相場など、金融市場全般の動向要因となるこ とに警戒が必要ですネ。

さて、2006年外国為替証拠金取引は、昨年17年7月1日施行の改正金融先物取引法により、当局への登録・交付が義務化されたことから、登録もしくは経 過措置による申請・審査中の取引業者のみが業務を行う環境が整ったことで、投資家保護の確立と個人マネーの積極型外貨運用先金融商品として、市場は拡大す るものと期待されます。


記録的な寒波が襲う日本列島ですが、某大手総合家電メーカーは、昨年末から不良石油温風機の回収・修理と使用の危険性を告知するテレビ・新聞広告掲載を継 続しています。製造管理のうえで商品の安全性に落ち度があった点は非難されるべきですが、現在行う説明責任と顧客対応には共感を持ちます。外国為替証拠金 取引も、昨年までの一部取引業者による不正業務が改善され、今後は個人投資家から「安心」と「利便性」に加え、「リスクコントロール」が容易である金融商 品として注目されてほしいものですネ。


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