Part13


FXコラム・パート13では、異常な約定後の「フェアな取引」を考えます。


電子商取引において、販売者が間違った価格を入力してしまった結果、誰が見てもおかしな低価格設定に購入者が群がることもあります。また、株式の取引でも、価格と取引数を逆に入力してしまった誤発注で、その結果、大量の売り注文により株式市場の混乱を引き起こしたこともありました。
インターバンク市場では、ボイスブローカーと電子ブローカーが共存しています。ボイスブローカーは、銀行との間に専用回線を敷き、マイクとスピーカーを使ってマーケットプライスをQuoteしています。そんな中で、ボイスブローカーの誤ったQuoteや聞き間違いによる “ヒット”で、注文が約定してしまうケースがあります。Favorにポジションメイクや決済ができたディーラーは「ラッキー」と思い、注文が間違いだったと気づいたUnfavorなディーラーやボイスブローカーは、約定をキャンセルするNegotiationを試みます。Favorに約定できたディーラーのなかには、キャンセルを “ごねる人” もいます。しかし、Unfavorに約定してしまったときでは、逆にこういうディーラーに限ってキャンセルを要望してくるものです。フェアな取引には、異常な約定に対してキャンセルもありうる公正さも必要です。
株式や外国為替証拠金取引が、電話取引からオンライン取引できるようになったのは、パソコンとインターネット、ブロードバンドの普及にあります。さらに、大容量のデータを、ADSLや光ファイバーなどの高速通信回線で、ストリーミング配信によるリアルタイム再生が可能になったことにあります。同時に、商用目的で配信されていたマーケット情報が、一般投資家でも容易に手にいれることができるようになり、また市場で取引される実勢価格を確保できることで、フェアな相対取引も実現しました。
しかし、ストリーミング配信によるリアルタイム再生では、瞬間的に市場レートから乖離した異常レートが配信される “スパイク(突起高)” が起こることがあります。これは経済指標の発表後などで 「飛ぶ」 市場の取引レートとは違い、明らかに電子的に誤配信されたレート(プライス)であることから、適切な市場レートとはいえません。通常、約定した注文はキャンセルされることになり、誤って約定した以前のポジション保有の状態に戻されます。
よく業界用語とか業界の慣習といった言葉を耳にします。これらは確かに業界という狭い世界では共通のものかもしれませんが、一般的には分かりづらいものです。一般消費者や投資家向けに販売や取引する事業者は、予期するトラブルにあらかじめ規定と取引ルールを定め、対処策を公開しておくことが、よりフェアなマーケット・フィールドづくりにもつながると考えます。
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by R


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