Part11


証券会社、商品先物会社、専門業者など外国為替証拠金取引を事業化する200社以上の取引会社のうち、今年に入り10社以上が自己資金規正比率のクリアーと事業継続を目的に、大手証券会社等への株式売却や本体からの分社化を進めています。
またその反面、関東財務局は、7月1日の改正金融先物取引法施行以来、すでに数社に対して業務停止や業務改善命令の行政処分に踏み切っています。これらの会社では、関係者による証拠金や資金などの持ち逃げ、分別保管をせずに顧客の資金流用による債務超過も判明したことによります。すでに10社あまりの会社が清算や破産手続きをはじめたことで、一部顧客へ証拠金の支払いができない恐れが表面化しました。
個人投資家は、経過措置(準備期間)の期限である今年12月末までは、より安全に取引できる会社を選択する必要に迫られています。ところが最近では、知人の紹介や懇意にしている営業員に付いて取引会社を転々と変更・選択した結果、トラブルに巻き込まれるケースも出始めています。破綻した会社の中には、営業員のインセンティブが、顧客の預託証拠金に比例して支払われていたという例もありました。証拠金集めに躍起になっている会社の見極めと、そのような会社との取引を避けることがすべてです。取引会社にとって顧客数(コスト)と預託証拠金の増加は、自己資本規制比率の分母に直結するわけですから、資本金が大きくなければ登録には程遠くなるからです。個人投資家は、実際の取引で為替変動リスクをカバーするだけの証拠金を預託しておくことにとどめ、不必要な資金は預け入れないことが、トラブルから資産を守る最小限の手立てになります。
まだ、どの社も改正金融先物取引法による登録が済んでいない現状では、「~のようだ」というような風説にも似た噂が先行しがちです。そこでまずは、トラブルを回避するために、自分の目で取引先の選別を試みることが必要です。取引をしようとする取引会社のホームページや資料に目を通すことはもちろんのこと、実際にオフィスを訪れて社員の対応を確かめてから選択しても遅くはありません。為替動向は株式市場とは違い、365日・24時間でポジションメイクと為替差益を獲得するチャンスがあるのですから。登録申請から実際に登録されるまで2~3ヶ月要することから、現在の様子では12月~2月にならないと登録会社が出揃わない流れからして、外国為替証拠金取引で資産の運用を始める前の会社選びは、慎重に進めることが大切です。
取引会社は、外国為替証拠金取引がギャンブルや賭博に類似する取引であると考える人たちへの啓蒙と業界の自主ルールの確立を進めることが急務です。証券会社、商品先物会社、専門業者がそれぞれ協会を立ち上げている状況から、統一した業界団体である協会の設立が望まれます。その際には、ぜひ“外国為替証拠金取引”に精通した人が代表として就いてほしものです。このような場合、概して「マージンFX」を理解していない、単にインターバンク市場と混同した重鎮と語り継がれるSPOT取引しか知らない過去の方が就任してしまう可能性があるからです。こんな方々の意見を参考に、また一部業界団体の思惑に沿って改正金融先物取引法を作成しまった結果、現に米国の法律に準じることなく間違った羅針盤を使って他国の法令を導入、法整備をしてしまったわけですから。今後、業界自体は萎縮することなく、外国為替証拠金取引が個人投資家に“マネーの動き”を活性化する新たな分散投資先、また外貨資産のヘッジ先となる金融商品に育つよう当局の支援を期待するところです。
// by R


TOPへ