Part4


過去のドル安トレンドの歴史を紐解く上で、1971年8月のニクソンショック、1978年10月のカーターショック、そして1985年9月プラザ・ホテル(NYC)で開催されたG5(先進5か国財務相・中央銀行総裁会議)がどのようなものであったか、振り返ることが大切になってきます。特にプラザ合意は、米国の対外債務を一部棒引きにする手立てとして主要各国が協調して、ドルを大幅に切り下げた(ドル高修正による)ものでした。
そして再度、2004年には米国の双子の赤字削減の方策として米国は、中国経済の成長とその国力に見合った中国人民元の切り上げ圧力を強め、またドルは各国通貨に対して全面安の様相を見せ始めています。今後、世界各国が外貨準備高に締める円やユーロの比率を引き上げ始めた場合には、さらに円高、ユーロ高に弾みがつきかねません。
日本国内では、金融の量的緩和の解除は、定率減税の見直し策や増税路線をにらみ、景気先行き警戒感が台頭、また再び個人消費の冷え込みを心配する声の高まりで、来年度に至っても可能性は小さいとの判断が主流となってきています。
そして2008年の北京オリンピック特需と世界の工場となった中国の鉄鋼需要拡大で、日本国内では自動車産業を中心に自動車用鋼材不足が深刻となり、さらに円高による企業業績懸念が来年度には表面化しかねないことから、特に最近の為替相場に対する警戒が指摘され始めています。
米国は「通貨の基軸通貨はドル」という立場を堅持するとの発言はあるもの、反面、双子の赤字に注目した思惑的なドル安基調により、為替マーケットの動向スタンスは一定することなく不安定です。「昨日も今日もドル安だから、明日も明後日もドル安基調は変わらない!?」などという為替動向の予測は成り立ちません。為替取引する上で、為替動向のターンニングポイントの見極めができるよう、各国の経済指標発表や経済・金融政策のニュースを、日ごろから注目していることが大切になります。
また、12月に入ったことで、クリスマスと年末年始の祝日要因により、今後インターバンク市場における参加者が減少することで流動性は極端に希薄になり、為替動向の荒っぽい展開も推測されます。ここは、為替ディーラーや機関投資家が休暇をシッカリ取るように、個人投資家も一緒にひと休みする季節なのかもしれません。
// by R
12/04/2004 UP


TOPへ