FXの基礎知識:スワップ金利と外国為替証拠金取引

◇ スワップ金利
◇ ロールオーバーとスワップ金利の「受け取り」・「支払い」
◇ 外国為替証拠金取引のメカニズム
◇ スポット取引とフォワード取引
◇ 外国為替証拠金取引の経済的効果



スワップ金利

<定義>
スワップ金利とは、金利取引における借り入れ金利と預け入れ金利の格差(差額)を交換(スワップ)した金利。

<説明>(平成17年2月14日現在)
米国(高金利)と日本(低金利)の金利差を利用しての資産運用を考えるとき、約105万円を銀行から借り入れ、1万ドルに両替をして銀行に預けるとします。
この場合で発生する日本円の借り入れ金利を年率 x%、米国ドルの預け入れ金利を年率 y%とすると、1日に受け取るスワップ金利は(y – x)%の日割分となります。

逆の場合では、1万ドルを銀行から借り入れ、約105万円に両替をして銀行に預けると、借り入れ金利は常に預け入れ金利より高いために、1万ドルの借り入れ金利は(y + α)%、日本の預け入れ金利はほぼ0%です。したがって、1日に支払うスワップ金利は(y + α)%の日割分となります。

ドルと円の両通貨の金利を比べた場合、借り入れによる資産運用をする上で絶対値で(y + α)は(y – x)よりも大きいことは明らかです。

≪銀行の融資金利は、預金金利と比べ常に高い≫


ロールオーバーとスワップ金利の「受け取り」・「支払い」

外国為替証拠金取引は、スポット取引(直物取引)を行い保有したポジションをロールオーバー(決済の繰り延べ)することに伴い、フォワード取引が組み合わされることでスワップ金利が発生する為替取引です。

USD/JPY(ドル/円)の取引で解説:(平成17年2月14日現在)
顧客が、外国為替証拠金取引で10万ドルの『ドル買い円売り』取引をした場合、そのポジションをNYK午後5時の時点(日本時間午前7時)まで決済せずに 保有を続けた場合、ロールオーバーされることになります。約600円のスワップ金利を受け取ることになり、可能証拠金に加算されます。『ドル売り円買い』 取引した場合では、逆に約700円のスワップ金利の支払いが発生することになり、可能証拠金から差し引かれます。

ただし、EURUSD(ユーロ/ドル)、EURGBP(ユーロ/ポンド)、USDCAD(ドル/カナダ)、CHFJPY(スイス/円)で『買いポジション』の保有でスワップ金利の支払いが発生し、『売りポジション』の保有でスワップ金利の受け取りとなります。

スワップ金利を理解する上で、2004年12月14日米国金融当局による追加利上げにより、ユーロとドルの金利が逆転したために、EUR/USDのスワッ プ金利も逆転しました。今までは「ユーロ買いドル売り」のポジションを保有する場合、スワップ金利を受け取っていたものが、スワップ金利の支払いになった ものです。したがって、各国の金融当局による短期金利「FF金利(Federal Funds)」などの変更で、スワップ金利は変動していることがお分かりになると思います。

≪「FF金利(Federal Funds)」とは、米国内で市中銀行間の即日利用可能な短期資金を無担保で貸借する金利で、日本のコール金利にあたります≫


外国為替証拠金取引のメカニズム

スポット取引(直物取引)は、取引を行った2営業日後(Value Date・受渡し日)にキャッシュを伴ったデリバリー(交換・決済通貨額の受渡し)が行われます。月曜日に105.00円の取引レートで1万ドルの「ドル 買い円売り」をした場合、水曜日には相手方から1万ドルのキャッシュを受け取り、相手方には105万円のキャッシュを支払い、SPOT取引は終了します。

外国為替証拠金取引は、「ドル買い円売り」をした場合には反対売買である「ドル売り円買い」をして取引は終了します。取引をした同日(NYK午後5時ま で)に反対売買をした場合では、2営業日後に2つの取引が相殺されることで、その差額(為替差損益)だけがデリバリーされるネッティング取引です。

しかし、反対売買を行わず翌日にポジションをロールオーバーした場合には、フォワード取引のトムネ取引が組み合わさることでスワップ金利が発生します。別 の表現をするならば、スポット取引にトムネ取引が組み合わさることで、ポジションを同日中に決済することなく(デリバリーすることなく)ポジションの保有 継続が可能になります。


スポット取引とフォワード取引

外国為替証拠金取引では、取引相手先は、顧客と取引をした「ドル買い円売り」のスポット取引で金融機関にヘッジを行います。顧客がポジションをロールオー バーした場合には、取引相手先は、トムネ取引をすることで、スポット取引のValue Dateに顧客がデリバリーする円は調達でき、さらにトムネ取引を繰り返すことでロールオーバーが継続されるのです。Value Dateで調達する円は、顧客が手にするドルを貸し出すことで、ドルの貸出金利と円の調達金利の差としてスワップ金利を顧客は受け取ることになるのです。

顧客が「ドル売り円買い」のポジションをロールオーバーした場合、取引相手先は「ドル売り円買い」のスポット取引でヘッジを行い、トムネ取引をすることで、スポット取引のValue Dateに顧客がデリバリーするドルは調達できます。円の貸出金利とドルの調達金利の差としてスワップ金利を顧客は支払うことになるのです。


外国為替証拠金取引の経済的効果

外国為替取引をする場合、ドル/円取引というのは「ドル買い円売り」とか「高金利のドル通貨を買い、低金利の円通貨を売る」ことですが、『ドルとい う通貨と円という通貨の交換』もしくは『ドルという通貨と円という通貨の両替』と表現すれば、初心者の方には理解しやすいかもしれません。

外国為替証拠金取引は、一般投資家が『ドルを持っているリスク』と『円を持っているリスク』を考えたとき、「どちらの通貨を持つことがリスク低減になる か」、初心者の方には「どちらの通貨の方が人気あるか」、低額の手数料と24時間実勢レートで、容易にリスクを分散するポートフォリオの組み換えを可能に する取引でもあるのです。また、金融機関にとっては、一般投資家が頻繁に行うコストに見合わない小さな取引単位での為替取引の受け皿として、その役割を取 引会社は担っています。

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