「両建て取引については、単にポジションが調整される効果しかないにも関わらず取扱手数料等のコストが二重にかかるなど、不合理な面があり、原則として禁止することが適当である」
(http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/siryou/kinyu/dai1/f-20040623_sir/01.pdf)
第19回金融審議会金融分科会第一部会で、外国為替証拠金取引に関する規制のあり方について、上記のように意見されています。
両建注文・取引の取引仕様を顧客に提供している取引会社は、審議中の段階であるとはいえ、取引規制に備えての対応を見せ始めました。取引会社の中には、審議の経過をあらかじめ顧客に知らせるだけでなく、「いつから規制されるのか?」「規制されたときには保有する両建ポジションはどうすればいいのか?」「もしくは規制されない?」と、顧客に対して無用な不安を抱かせないためにも、両建注文・取引仕様を終了すると表明する業者も現れ始めました。両建ポジションを短期間で、為替差益を獲得できるように決済するには、高度な取引手法が求められますが、半年の期間で余裕を持って計画的に決済していくことは、それほど難しいことではありません。したがって、今から保有する両建ポジションの管理、および今後新たに両建となるポジションメイクに注意することが大切になります。
そこで、ケーススタディで両建ポジションの決済計画を立案してみましょう!
【課題】
外国為替証拠金取引を始めるにあたり、次のように取引戦略を立てた:
- ドル円相場は103~109円で推移していた。
- 許容できる為替取引リスクは20万円で、その金額を証拠金として預け入れる。
- 1万ドル単位で2ロット(2万ドル)の「ドル買い円売り」取引をしたい。
- スワップ金利は、ドル買い円売りでは45円の受け取り、ドル売り円買いでは55円の支払いが発生する。
- 維持証拠金は1ロットあたり5,000円であり、手数料は500円。ただし、両建となる一方のポジションメイクに維持証拠金は発生しない。
①ドル円、107円00銭で2ロットの新規「ドル買い円売り」取引をした。
②ドル円、105円00銭で2ロットの新規「ドル売り円買い」取引をしたことによって、2ロットの両建ポジションを保有することになった。
20万円(証拠金)を預け入れ、手数料と維持証拠金を除いた18万9千円余りが可能証拠金に当てることができ、①による2ロットの取引では1ロットあたり9円40銭のドル円レンジ幅がリスク許容範囲となった。②の取引によって、4万円(1ロットあたり2万円)の為替差損が固定された。

しかし、両建ポジションを決済するまでは、必ず日毎スワップ金利を支払うことになり、このままではいずれ可能証拠金がゼロまたマイナスになることによってマージンカットで為替差損が確定してしまう。したがって、両建ポジションの決済計画を立て、それを実践することで両建ポジションを一定期間内で決済することにした。
皆さんは、この両建ポジションを②以降で、これからどのように決済しますか?
休憩を挟んで、≪為替の謎-5≫のケーススタディを解いてみましょう!
1/17/2005 UP
≪為替の謎-5≫では、両建ポジションの決済方法を考えるケーススタディの課題が与えられました。為替動向の流れを読みつつ、結果的に両建ポジションから為替差益を得る決済を誰もが望んでいることと思います。為替動向は、都合よく望む為替トレンドに推移するものではありませんが、両建ポジションの決済スケジュールを、ご一緒に立案してみましょう!
【その1】
- (A)
- ②の売りポジションのうち、103円00銭で1ロットを決済する。
これによって、2万円の為替差益が生じ、また①の1ロット分の「見かけ上損失分4万円」が取引バランス欄で膨れます。また、スワップ金利もそれ以降は日毎20円の支払いであったものが、35円の受け取りになります。 - (B)
- ①の買いポジションのうち、両建ポジションとなっていない1ロットを105円00銭で決済する。
これによって、2万円の為替差損がでます。また、スワップ金利は日毎10円の支払いになります。 - (C)
- ②の残る売りポジションを104円00銭で決済する。
これによって、1万円の為替差益が生じ、また①で残る1ロット分の「見かけ上損失分3万円」と取引バランス欄でマイナスが膨れます。また、スワップ金利は日毎45円の受け取りになります。 - (D)
- 残る①のポジションを108円00銭で決済する。
これによって、1万円の為替差益を得て、すべての両建ポジションは最終的に2万円の為替差益を得て決済されたことになります。
一連の取引を可能にするためには、前提条件として両建ポジションをひとつずつ決済していく上で、「見かけ上の損失分」をカバーする可能証拠金が預け入れられていなくてはなりません。
【その2】
- (あ)
- 新規に107円00銭で1ロット「ドル売り円買い」取引をする。
これによって、このポジションの決済時期を注意深く探る。しかし、日毎にスワップ金利の支払いが生じることになります。 - (い)
- (あ)のポジションを103円00銭で決済する。
これによって、4万円の為替差益が生じることになります。 - (う)
- 両建となっている①と②のポジションを106円00銭ですべて決済する。

これによって、4万円の為替差損が発生するが、(あ)(い)の取引で損益は相殺され、結果としてはこれまでの日毎のスワップ金利支払い分のみが損金となり、両建ポジションは決済されたことになります。
ただし、この両建ポジションの解消方法は、新規のポジションの保有で新たな取引リスクと手数料の発生、そのための証拠金の充当が必要になります。また、そのポジションメイクに新たな損失の発生することで、最終的にさらに損失が膨らむ恐れも考慮しなくてはならず、自身の為替取引技法に過信した取引は避けることが望まれます。
すでに保有する両建ポジションのロット数が多かったり、また為替動向が期待通りの動きを示さなかった場合には、両建ポジションを決済していく上で、為替差益を得ることは難しいかもしれません。
これまでにFXCAFE.JPセミナーでは、両建注文・取引をはじめ逆指値注文やOCO注文、イフダン注文、Trailing Stop注文などは、為替取引を熟知し、しかも十分にシステム取引を理解したトレーダーには、多彩な取引手法の内の選択肢のひとつであり、一般のトレーダーには不向きな注文であるとの認識が必要であることを説いてきました。なぜならば、単にインターネット取引システム上で可能になった取引注文に過ぎず、プロの為替ディーラーは行わない手法であるとも述べました。
また、両建ポジションの保有は、スワップ金利の支払いの発生からして短期においては状況次第で有益な仕様であっても、本来長期にわたって保有すべきポジションでないことは明らかです。現在、両建ポジションを保有されている方は、よほどの自信を持ってその注文・取引をされたことと思われます。両建ポジションの決済計画で、今後の為替取引を組み合わせることにより、適切な自己完結による取引が望まれます。
みなさんは、どんな両建ポジションの決済ステップをお考えでしたか?
≪為替の謎 - 6≫で解説した2つの例のほかにも、決済の手段やステップ、決済するレートやタイミングを見計らって両建ポジションの解消をするチャンスはたくさんあります。また、為替差益を得ることにこだわらずに、両建ポジションを解消する決断も必要かと思います。
両建ポジションの解消だけでなく、今後、為替取引をする上で、まず考えておくべきことは、損失が発生した場合のポジション管理で 『ロスカットする決断を身に付けることが先決』
という認識を持つことと思います。気分を一新した上で、為替取引を継続するか? 新たに取引を始めるか? 自身の為替取引での資産運用の技量を見極めることが大切です。
1/23/2005 UP
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